こちら難聴・耳鳴り外来です!

きこえ、コミュニケーション、そして認知や学習などについて”聴覚評論家 中川雅文" が持論・自説を思うままにつづっています。ときどき脱線しますがご勘弁を(^^;

補聴器診療いろは

美しくないものをひとに売りつけるのはなんと罪なことかといつも思う。美しくないものを人に勧めることがどれほど大変なことか補聴器メーカーはわかっていない。何千万もする高級車フェラーリ、そのスペックを説明しなくても欲しいという気持ちを沸き立たせてくれる。デザインがすべてだとボクは思う。されど市場にはぶさいくなのしか投入されない。インダストリーデザイナはいったいなにをやっているんだ!補聴器メーカーの怠慢のせいで、ぼくらは、どこかのお見合い叔母さんよろしく、みためのわるいダサい人を「素敵な型(方)ですよ。お似合いです」とか「きこえ(結婚)は見た目じゃわかりません」とかスペックばかり説明して、無理くりカップリングするみたいな臨床の日々を強いられているぞ(^^;

 

で、今回はそんな地味でベタな補聴器あきないの作法を再整理してみます。

 基本は、戦略的、合理的、エビデンスペースな‪フィッティング‬はどうあるべきかにつきます。

まずは最初の3回はシンプル。

初回カウンセリングは購入に関わる手続きを中心に話しをすすめていく。初回で耳型を取っておくことは基本のキホン。耳型採取を体験させておくことはとても大事なプロセス。印象をとることはクライアントと技能者や聴覚士のファーストタッチの最初の場面でもある。初回で「触れる」か。そこはとても重要なポイント。さらに言えばテクニカルな本領を発揮する最初のステップでもある。

第1段階は・・・

井戸端会議というか雑談的にこうした話題をすすめていく。もちろん小脇にはコミューンを設置しておく。必要に応じて支援器機を使ったり近づいたりマスクしたり外したり、あるいは下向いたり顔ガン見だったり。「場面難聴」あるいは「場面健聴」というシチュエーションをお互いで確認していく。

 

実は補聴器が美しくないからクライアントに正常化バイアスを生じせしめている。「(そこの修正に拘泥するくらいなら)最初からCICかIICでいいじゃん」というのがぼくのポリシー。充分値段もこなれている。

IICなら、ポーラーデザインを選択する必要もないし、適応型指向性とか余分なオプションはいらないし、ノイズキャンセルだってなくてすむ。

「耳が小さくてCICとかも難しいね。BTEにしましょうと説明するときにはクライアントの耳型がある方が説明しやすい。」

BTEだからいろんなオプショナルな機能が必要になってこんなに高くなるんですよと説明するのが合理的だ。

 

繰り返し伝えるメッセージは、

くれぐれも陥ってはいけないのは、コストと時間を忘れがちなオージオロジスト(日本固有)にはまり込まないこと。

 

左右間違えない。所有満足感の視点から、ベージュの補聴器に仕上げることはしない。

 

つづきはnoteでお楽しみください。

noteには12/10アップ予定です。