補聴器診療いろは
補聴器にはAppleのような美意識はないのだろうか。
— 聴覚評論家 中川雅文 (@masafummi) 2019年12月3日
美しさは十分に付加価値であって美しければそこにコスト払うことを誰もいとわない。
美しくないものをひとに売りつけるのはなんと罪なことかといつも思う。美しくないものを人に勧めることがどれほど大変なことか補聴器メーカーはわかっていない。何千万もする高級車フェラーリ、そのスペックを説明しなくても欲しいという気持ちを沸き立たせてくれる。デザインがすべてだとボクは思う。されど市場にはぶさいくなのしか投入されない。インダストリーデザイナはいったいなにをやっているんだ!補聴器メーカーの怠慢のせいで、ぼくらは、どこかのお見合い叔母さんよろしく、みためのわるいダサい人を「素敵な型(方)ですよ。お似合いです」とか「きこえ(結婚)は見た目じゃわかりません」とかスペックばかり説明して、無理くりカップリングするみたいな臨床の日々を強いられているぞ(^^;
で、今回はそんな地味でベタな補聴器あきないの作法を再整理してみます。
基本は、戦略的、合理的、エビデンスペースなフィッティングはどうあるべきかにつきます。
まずは最初の3回はシンプル。
初回(耳型採取+カウンセリング)、2回目(納品、2モード選択性の設定とする、当然REM補正あり)、3回目(ログチェックしてどちらのモードを多用したか確認、あと使用環境確認して週の曝露からOSPL90を再設定する)。これ以降は3ヶ月1回の耳鼻科医の耳垢チェックと技能者の点検。
— 聴覚評論家 中川雅文 (@masafummi) 2019年12月2日
初回カウンセリングは購入に関わる手続きを中心に話しをすすめていく。初回で耳型を取っておくことは基本のキホン。耳型採取を体験させておくことはとても大事なプロセス。印象をとることはクライアントと技能者や聴覚士のファーストタッチの最初の場面でもある。初回で「触れる」か。そこはとても重要なポイント。さらに言えばテクニカルな本領を発揮する最初のステップでもある。
第1段階は・・・
初回カウンセリングでは、
— 聴覚評論家 中川雅文 (@masafummi) 2019年12月3日
1.福祉適用のありなし
2.税額控除あるいは必要経費化するテク
3.ローンないけどカードOK、カードでリボならローンみたいなものとか説明
4.ランニングコストと買い替え時期、保証など
まずはドロドロしたところから。 https://t.co/Rva68PdcOz
5.活動範囲の確認と誰と話したいのかの確認。家族構成とかも。会話の中からキーパーソン割り出す。キーパーソンは二種類。
— 聴覚評論家 中川雅文 (@masafummi) 2019年12月3日
井戸端会議というか雑談的にこうした話題をすすめていく。もちろん小脇にはコミューンを設置しておく。必要に応じて支援器機を使ったり近づいたりマスクしたり外したり、あるいは下向いたり顔ガン見だったり。「場面難聴」あるいは「場面健聴」というシチュエーションをお互いで確認していく。
認知の歪みを正すことがカウンセリングの最大のポイント。殿点に「正常化バイアス」が生じているか。それは、自己保身が家族がそうさせているか?
— 聴覚評論家 中川雅文 (@masafummi) 2019年12月3日
実は補聴器が美しくないからクライアントに正常化バイアスを生じせしめている。「(そこの修正に拘泥するくらいなら)最初からCICかIICでいいじゃん」というのがぼくのポリシー。充分値段もこなれている。
IICなら、ポーラーデザインを選択する必要もないし、適応型指向性とか余分なオプションはいらないし、ノイズキャンセルだってなくてすむ。
「耳が小さくてCICとかも難しいね。BTEにしましょうと説明するときにはクライアントの耳型がある方が説明しやすい。」
BTEだからいろんなオプショナルな機能が必要になってこんなに高くなるんですよと説明するのが合理的だ。
そして初回の最後にスタイルの決定を行う。通常は、帽子かぶりますか?メガネ使いますか?の質問して両方イエスならCICかIIC とするのがよいことをアドバイスする。両耳聴能を活用できるならオプションはあまりいらないことを伝える。
— 聴覚評論家 中川雅文 (@masafummi) 2019年12月3日
繰り返し伝えるメッセージは、
「3ヶ月に1回、耳鼻科医の耳垢チェックを受けてください。」と補聴器ユーザーには口すっぱくくり返し促して欲しい。
— 聴覚評論家 中川雅文 (@masafummi) 2019年12月2日
くれぐれも陥ってはいけないのは、コストと時間を忘れがちなオージオロジスト(日本固有)にはまり込まないこと。
言語聴覚士が介入することでかえって通院回数や検査が増えているきらいがある。ここはいったん、医師と技能者だけでできる症例というのの整理が必要な時期にきているように思う。それくらい患者さん増えている。
— 聴覚評論家 中川雅文 (@masafummi) 2019年12月2日
左右間違えない。所有満足感の視点から、ベージュの補聴器に仕上げることはしない。
つづきはnoteでお楽しみください。
noteには12/10アップ予定です。