#IgA腎症の治療を考える会ver4.0
#慢性上咽頭炎
#鼻うがい
#口蓋扁桃摘出術
#Bスポット療法
先日、25年ぶりに東京都保健医療公社大久保病院にうかがった。25年前は都立病院だったけど、統廃合や改編などのあおりで自律的に採算性のある医療をするということでじゅう数年前に公社化していたらしい。当時、ぼくは多摩にある公社が2番目に作った立ち上がったばかりの病院に勤務医していた。その病院はまだフル稼働していなかったせいもあって事務は大久保病院の預かりとなっていて、大久保病院の事務局長が、多摩の病院の事務も兼任していた。そんなわけで、ことある時は、多摩センターから新宿までお伺いに出向くことも少なくなかった。当時はまだ南大沢とか整備されつつある段階で病院の裏には昔ながらの豆腐屋があったり、看護師さんも実は地主の娘みたいなとても田舎だったから、事務局長にこってりしぼられることはわかっていても、昼間に臨床の仕事傍に置いて新宿まで出かけるのはなにやらウキウキするイベントだった。
そんな大久保病院で、湯村先生が、『IgA腎症の治療を考える会ver4.0』なるものを開催され、そこにゲストとして参加した。ぼくは、耳鼻科医の立場から扁摘の現状をベタな臨床的よもやま話として一時間程度お話しする機会身いただいた。
すこし整理してみる。
— 聴覚評論家 中川雅文 (@masafummi) 2019年11月4日
①日本はIgA腎症が多い国の一つである。
②予後良好と言われていたが長期観察から腎死は10年で10%、30年で30%と予後は必ずしも良くないことがわかってきた。
③腎症→透析→移植となったあとに再び移植腎が腎症になる。
#IgA腎症の治療を考える会ver4
④移植腎の腎症化の背景には免疫抑制剤の使用があり、使用によって上咽頭炎が再燃することにあるらしい。
— 聴覚評論家 中川雅文 (@masafummi) 2019年11月4日
#IgA腎症の治療を考える会ver4
⑤扁摘と扁桃切除の区別とか遺残扁桃の問題とか。内科医は耳鼻科医を全面的に信任していてそこのバイアスを統計調査に盛り込んでいない。
— 聴覚評論家 中川雅文 (@masafummi) 2019年11月4日
⑥「この症例はIgA腎症だから〇〇先生お願いします。」というような繊細な手術という認識を耳鼻科医は持っていない。
#IgA腎症の治療を考える会ver4
⑦たかが扁摘されど扁摘。
— 聴覚評論家 中川雅文 (@masafummi) 2019年11月4日
#IgA腎症の治療を考える会ver4
⑧扁摘に始まり扁摘に終わる(耳鼻咽喉科外科医の生涯)。
— 聴覚評論家 中川雅文 (@masafummi) 2019年11月4日
#IgA腎症の治療を考える会ver4
扁摘の確実性というのがIgA腎症の扁摘には求められている。
— 聴覚評論家 中川雅文 (@masafummi) 2019年11月4日
⑨扁摘の歴史は、よせてはかえす波のごとし。昭和30〜40年代には狂ったように切除していたのに、昭和50年代半ばには一気に冷えこんだ。術後出血のリスクを小児科医が嫌がり耳鼻科に依頼しなくなった。#IgA腎症の治療を考える会ver4 https://t.co/SLadhmyic2
— 聴覚評論家 中川雅文 (@masafummi) 2019年11月4日
⑩扁摘の術式の変遷も関係している。コールドメスからホットメスそしてウォームメスへの変遷は大きい。コールドで出血しまくり、ホットで疼痛が問題となり、ウォームが今。
— 聴覚評論家 中川雅文 (@masafummi) 2019年11月4日
#IgA腎症の治療を考える会ver4
ぼくの古い医学知識だと、予後良好という認識だし、耳鼻科的には扁摘は若いのに任せとけばいいと遺残(レスト)についてもそんなにシビアに考えていない風潮はそれはそれで普通なのかなと。マニアックにレイヤーでの切除にこだわるのはぼくの性格の問題くらいな認識だったけど、そんな話じゃないことを理解するとても大切な勉強会となった。
この会の理事長である湯村先生は現在東北の医科薬科大病院にいらっしゃるが、そこにうつられるまでは、ぼくと同じ大学病院で同じ教職員役員寮でもって寝食ともに新設医学部設置のために一緒に汗かいた仲間だ。そんな先生と新たなコラボが始まる予感に今ワクワクしている。
『たかが扁摘』なんて言っていたら腎死ゼロなんて夢は実現しそうもない。
扁摘エキスパートを真剣に育てる時期に来ているように思う。
https://www.php.co.jp/family/detail.php?id=84486