こちら難聴・耳鳴り外来です!

きこえ、コミュニケーション、そして認知や学習などについて”聴覚評論家 中川雅文" が持論・自説を思うままにつづっています。ときどき脱線しますがご勘弁を(^^;

補聴器なんて役に立たない⁉️ その2 ボケと呆けではおお違い(^^;;

こんにちは 聴覚評論家の なかがわ です。

 
きょうは、ボケと呆けではおお違い をテーマに ことばの聞きとりと認知機能について学んでいきます。
 
f:id:neruo:20141013125334j:plain
 
それでは スタート(-_^)
 

ボケと呆けではおお違い

まずは ボケと呆け サクッとWikiってみましょう。

ウィキペディアで調べてみると、

 

  • 呆け・耄け → 認知症(痴呆) - 加齢や病気による脳の器質的障害

  • ボケ (漫才) - 漫才などで、相手を笑わせるために、間違った振る舞いを行うこと。または、その役。

 

とあります。

ボケは相手を笑わせ、呆けでは自分が笑われる。こりゃ えらい違いです。

 

難聴とは、「聞こえないことと」 と思っている人は少なくないようですが、実際はそうではありません。

聞こえているけど正しく 聴こえていない というのが 難聴の本当の姿です。

耳が遠いのは。難聴ではなく 聞こえていない の方に分類するべでしょう。

 

ややもすると見過ごされがちな軽度難聴。これが実に厄介です。

なぜならその表現様式があまりに多彩だからです。

まるで難聴とは関係なさそうなふるまいが聴こえの不調、軽度難聴のサインであったりするからです。

 

  • 聞き間違い
  • オヤジギャグ
  • 空耳
  • KY

などなど軽度難聴の困った例をあげればキリはなく、本当に多彩です。

しかもこれらの徴候が軽度認知機能障害と区別し難いから厄介です。
 
認知症の評価は、
 
  • バーセルインデックス
  • やる気スコア
  • MMSE
  • HDS-R
  • MRI
などを用いて行います。

しかし高齢者補聴器フィッティングに際してこうした検査がルチンに行われているかというとそうではありません。

高齢者の評価に必須の基本中の基本なのですが、残念ながら認定補聴器専門店には医師も言語聴覚士も常勤していません。耳鼻咽喉科のクリニックに行っても急性疾患や花粉症などの患者さんの診察て手いっぱいでお医者さんもそこまで手が回わらないのが現実です。

ボケか呆けかも確認しないままに補聴器診療が流されてしまっている。そんなところは少なくないように思うのです。

 

ことばの聞き取り

ことばの聞き取りは、

 

  1. 単音を聞き取る能力
  2. 親密度の高い単語を聞き取る能力
  3. 親密度の低い単語を復唱する能力
  4. 文レベルの理解力
  5. 隠喩、暗喩を読み取る能力
なとを調べる必要があります。

これはそれぞれに、

 

  1. 一次聴覚皮質の働き (PAC)
  2. ウェルニッケ野の働き (W)
  3. ミラーニューロンの働き
  4. 認知機能全般の働き
  5. 角回や緣上回など後聴覚皮質の働き
を観察することにつながります。

補聴器適合検査ではせいぜい1と2までしか調べません。

高齢者に補聴器を合わせる時は、認知症の疑いがないか認知機能検査をするか3.4.5.に異常がないか調べるべきですが、現場はあまりに忙しくてそこまで手が回らず、マニュアル通りな最低限の検査だけとなってしまってます。

 

高齢者は基本的に学習障害がある

難聴者が補聴器を使ってないとどんな困ったことが生じるのか。そのことについても少し考えてみましょう。

難聴ままでいるということは、

  • 既知のことばである脳内処理資源は、難聴で歪んだ音素情報となったコトバを聞いてもことばを想起することができない。

  • 歪んだコトバに順応して数年もすると脳内処理資源としての既知のことばの音素情報は歪んだ音素情報に置き換えられる。

  • 「か」と「た」、「ひ」と「し」の区別がつかないというのは、幼少期に獲得した50音という音韻カテゴリーが、その数を減らしてしまうことです。無視されるようになった音韻が活用されないと当然のことながら脳内辞書の活用もうまくいかなくなる。

  • 辞書機能の混乱が、想起エラーを引き起こし、聞き間違い、オヤジギャグ、空耳、KYなどの行動が顕在化していきます。

50歳を過ぎれば大なり小なり難聴があります。

小学生が入学して普通教室で学ぶには、30dB未満でなければならないわけですから、50過ぎたら皆、学習障害があると言っても言い過ぎではないでしょう。

 

 

難聴を永く患ったひとほど補聴器に馴染むのに時間がかかる

 

補聴器はきわめて優れた音響器機です。聴力検査で明らかになった聴覚損失を見事に補正してくれます。内耳の衰えは、見事なまでに補聴器で補正されます。

つまり補聴器を介することで脳には完璧な音韻遷移分布が再び展開されます。

だから脳内辞書に歪みの生まれてない軽度難聴なら補聴器を通して聞こえる音にも違和感を感じにくいのです。

ところが、補聴器をいやだいやだとつけるのを遅らせてしまった中等度難聴者の場合は、とうの昔に歪んだ脳内辞書がメイン辞書に置き換えられていますから、いくら補聴器できれいな音を入れてもさっぱりということになってしまうのです。

 

脳内辞書は難聴によって

  • 強調化 
  • 平準化 
  • 減衰 (忘却)

といった変化をすることが、結果として、補聴器に馴染めない「耳」を生み出してしまうのです。

 

補聴器に馴染めない人はどうすれば良いか

  • 装用して音読させる: これによって装用下での明瞭度アップをはかります。
  • 装用して声に出しながら書き取りをさせる: 脳の神経活動は、目と耳と利き腕が連動することで過去に獲得した記憶を取り戻します。本来のことばの記憶、歪んでいない脳内辞書を再び活動させるために、目と耳と利き腕をたくさん動かすことが大切になります。
  • ウォーキングしてから脳トレすること: 30分のウォーキング後は約2時間脳が冴えますす。このタイミングを使うことが歪みの矯正のための訓練期間短縮の決め手です。
語音明瞭度が悪くてもこうしたトレーニングをすることでかなりな患者さんが満足いく聴こえを、補聴器を使うことで手に入れられています。

 

 

声が大きいから問題な訳ではない

補聴器が役に立たないというクレームに関する話はよく耳にしますが、ヨカッタヨカッタという声は、お医者さんの耳には入ってきません。

そりゃ当たり前の話で、上手くいった人はクリニックに来るわけないのですから。

クレームに悩みその対処法に一所懸命な真面目な先生には本当に頭が下がります。でも、その患者さん本当は先生に逢いたくてだけど話題はそれしかないからグズグズ言ってるだけでホントはたいした問題じゃないかもしれません。

まだ認知機能評価やトレーニングをやってないようなら押さえるとこはしっかりおさえてくださいね^o^

 

それでは 

ごきげんよう、さようなら(^^)/~~~