こちら難聴・耳鳴り外来です!

きこえ、コミュニケーション、そして認知や学習などについて”聴覚評論家 中川雅文" が持論・自説を思うままにつづっています。ときどき脱線しますがご勘弁を(^^;

サルとヒトのさかい目 その3 出来るヤツはいつも秒殺

こんばんわ^o^ 

聴覚評論家の なかがわ です。  

 遅くなりました、きょうは、 「出来るヤツはいつも秒殺⁈」  というテーマで、サルもヒトも一緒な悲しい真実について学んでいきます。  それでは スタート(-_^)    

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サルのコミュニケーション
密林の中に群れで生活するチンパンジーは、二つの言語を持っています。
一対一のコミュニケーションでは、ヒトが使う手話のような手ぶり身振り言語を使います。研究者の調査では少なくとも20語以上のことばを操ることが明らかになってますから驚きです。
 
もう一つの言語が「音声」です。ただし、われわれヒトが使うような音声ではありません。
チンパンジーは複雑な音素を使い分けるのではなくエコーコミュニケーションと呼ばれる方法で意思の疎通をはかります。エコーコミュニケーションは、音の高低とイントネーション、そしてリズムを使います。
例えば、密林の中を移動している時、チンパンジーは自分たちの子ザルが、外敵から襲われないように、周囲に最大の注意を払っています。視界のきかない密林の中では、敵に気がついた大人のチンパンジーが、我れ先に叫び始め、外敵の注意を自分に集めます。他の動物なら仲間を捨てて我れ先に逃げるのですが、チンパンジーはヒトに近いだけあって仲間を守ることを優先します。仲間が安全な場所に逃げられるよう声を発するわけですが、それを聞いた他の大人のチンパンジーは答えるように一緒になって叫び始めます。お互いが、「ホッホッホッ 」、「ホッホッホッ」と叫び声をどんどんトーンアップさせながらアップスィープなこだまのようなエコーコミュニケーションをします。パトカーが近づくとき音が高く聞こえるのかドップラー効果ですが、大人のチンパンジーたちが大きな声でアップスィープなエコーコミュニケーションをすると音が撹乱されてしまい、外敵は逃げていく群れの遠ざかる音を拾いだすことができなくなり、群れを見失しなってしまいます。
そうしたチンパンジーの単純なエコーの繰り返しには重要な法則、0.8秒以内かそれ以上かの法則があります。これは、同意が不同意かの確認のタイミング時間てであると考えられています。チンパンジーのエコーコミュニケーションはパントコールと呼ばれています。
 
 
ヒトもサルも時間の法則から逃れられない
われわれの行動は、外界からの刺激に対し脳神経系か反応した結果の出力にすぎません。
考えているように見えても、人それぞれに個性的な反応に見えても、それはシンプルな反射でしかないのです。多様に思えるのは、脳神経系のコンテンツがみなそれぞれに異なるから出力にバイアスがかかるだけ。違ってみえますが、脳神経系の支配の法則から見ると実にシンプルな反射です。例えば日本人同士の中でそれぞれに個性的に見えても、外国人から見れば、日本人の思考は均質に見えるなんてのがその例でしょう。
 
ヒトは 0.3秒でイエス、0.4秒で無視 を決めこむ
われわれは受容した感覚情報に対する選択を0.3秒で行います。
例えば、音を聞いた時、0.1秒で大脳皮質の一次聴覚皮質に到達します。それから0.2秒くらいかけてその情報を判断します。判断に応じて行動するかしないか、無視を決め込むまでが0.4秒。
その行動が出るなのが、0.8秒なのです。
0.3秒のイエスと0.4秒の無視は、行動としては、0.8秒以内の うなづき か それより長い時間 無表情あるいは無視する行動として観察できます。
脳科学ではそうした脳の情報処理能力を調べる検査法が確立されています。選択的な注意力を調べるオドボール誘発電位計測がそれです。脳波や脳磁図などの時間分解能が高い装置で調べるのが良いですが、工夫すれば、機能的MRI光トポグラフィーのようなサンプリングの粗い装置でもそうした変化は観察可能です。
 
 
0.3秒未満で反応できるスポーツ選手
神経系の不思議は、そうした0.3秒な判断の時間が訓練で短縮されることです。
一流のスポーツマンは、訓練によって常人なら0.3秒かかる処理時間を0.2秒に限りなく近づけます。時速150kmの豪速球を前にわれわれはなんら打つ手がありませんが一流のバッターなら打てるのは彼らが訓練でみづからの神経系を改良しているからに他なりません。
 
1秒で反応しないとKYと思われる
チンパンジーが行うバントコールは、0.8秒が決め手です。同意が不同意か、その判断が時間に依存しているからです。
遅ければそれは無視と同じ意味を持ちますし、わかってないという意味で相手に受け止められるかもしれません。
 
0.8秒の法則で職場の危機を乗り切ろう‼︎
冒頭でヒトはレスポンスなだけの生き物だと説明しましたが、それゆえに、われわれは、このエコーコミュニケーションの法則を処世術に利用することができます。
聞きたくない話でも、0.8秒でうなづいたりアイコンタクトすれば相手は同意してくれてる受け入れてくれている時錯覚してしまうのです。
漫才のボケとつっ込みもまさしくこの時間法則で展開されています。
 
ということで、私が皆さんにおすすめするのは、
 
  • 同意を示したいなら0.8秒で返事
  • 不同意な時は0.8秒以上間を空ける
  • 熟考したフリなら、0.8秒でアイコンタクト、1.0秒以上空けてに返事
です。サルもやってるコミュニケーションスキル ぜひ試してみてください。
 
 それでは  
おやすみ~~~