胸やけのお薬にご用心!
http://well.blogs.nytimes.com/2016/02/17/heartburn-drugs-tied-to-dementia-risk/
胸やけのお薬として今一番多用されているのがプロトンポンプ阻害薬(PPI)です。
タケプロン(武田薬品)、ネキシウム(アストラゼネカ)、タケキャブ(大塚薬品)、パリエット(エーザイ)などなど実に多くの製薬メーカーから似たようなPPIがごまんとリリースされています。
胸やけ=逆流性食道炎は現代人に多い疾患ですが、その本態はまさしく生活習慣病そのものです。
- 21時以降に夕食を食べる。
- 夕食にカレーライスやカツ丼などこってり系を腹一杯食べる。
- 腹部肥満型の体型である。
- ストレスがあるとどか食いしてストレス発散するタイプである。
- 勤務シフトの関係で夜勤があるあるいは生活が不規則。
こうした日常的に起こりうる状況のひとつでもあてはまれば実はあなたも容易に逆流性食道炎になってしまいます。PPIはそうした状況によって生じてしまった胸やけ症状をコントロールしてくれるとてもよい薬なのです。しかし、その原因は、生活習慣ですから薬を漫然と継続することは本当は慎まねばならないのです。ところが、人というのはわがままな生き物でして、医者に言われてわかっていてもそうした悪癖をなおすことはままならず結局いつも通りの悪い生活パターンに陥ったままで、ついついPPIの世話になりっぱなしになったりするわけです。
しかし、迷走神経の働きにも大なり小なり干渉してくるこうした薬剤がまるっきり安全ということは考えにくいし、内服継続に伴う胃酸分泌のバランスの乱れはきっといろんな消化吸収の異変を引き起こすにちがいありません。
実際、PPIの長期連用は、骨折しやすい(カルシウムの吸収阻害でしょうか?)、腎臓の機能が悪くなる(これはまだ原因がよくわかっていません)、免疫が悪くなり感染症になりやすくなる(迷走神経機能に介入すると言うことは当然免疫系もバランス崩れるでしょう)などが知られています。今年に入ってからはいよいよPPIの2年以上の継続は慢性腎不全の原因となるから「慎重投与」するようにとの勧告まで出てしまいました。そんなデータが次々出てくるのは大規模調査しやすい。つまりは、まあそれほど使いやすくてよく効く薬ということなのでしょう。
そんなPPIに新たなリスクが警鐘されました。PPIを長期連用している人に認知症が多いという報告です。くわしくはリンクのサイトを是非ぜひ読んでみてください。
結局のところ生活習慣病に対するお薬治療はいつもあとからろくでもないはなしばかりがわいてくるのがいつものパターンのようですね。