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こちら難聴・耳鳴り外来です!

きこえ、コミュニケーション、そして認知や学習などについて”聴覚評論家 中川雅文" が持論・自説を思うままにつづっています。ときどき脱線しますがご勘弁を(^^;

アップルミュージック再考

クローズアップ現代 「音楽の価値 どう伝える 」2015.07.07.
 
番組では、CD から ダウンロード そして ストリーミングでアーチストの受けとる対価 印税が少なくなったと言う。
無料アプリや無料動画サイトがアーチストを侵害してるという。

しかしことは、そんなに単純じゃないし、悪いことばかりじゃない。この変化は、物流と著作権に対するイノベーションだからだ。

レコードからCDへの変化はアナログからデジタルと言うテクノロジーの変化だった。真空管アンプやレコード針もレコード盤とともに市場から消えていった。

CDからダウンロードへの変化は、レコード盤からCDへの変化よりも段階を経ている。デジタルの圧縮技術と聴覚生理学の進歩が必要だったからだ。AIFFからWAVなどのフォーマットを経てMP3まで劣化を許したのは、聴覚生理学が内耳レベルでの音の不応期を明らかにしたことや内耳におけるトノトピーは音圧によって可変することがわかったからだ。そうした聴覚生理学の研究者であるエリクソン博士は学者から音響エンジニアになり、メーカーになった。

だからCDがいきなりダウンロードになったわけじやない。ソニーやウインドウズが捨て石となってアップルの時代の基礎を作ったとも言えるのだ。

ダウンロードは当初 泥棒ユーザーに手をこまねいた。ソニーはじめとするメーカーはその退治に躍起になった。レコードやCDを売っていた時に、テープレコーダーへコピーすることを奨励していたのに何故か違法ダウンロードに対しては恐ろしく躍起になっていたように思う。

認証がすこぶる正確になり違法ダウンロードすることが面倒になり始めた頃、YouTubeか広告付きの音楽の無料動画配信を始める。この時すでに音楽ファンの大多数、大衆は音楽を耳だけで楽しむことはなくなっていた。

ダウンロードが破壊したのは映画ソーシャルネットワークに登場するナップスターのショーンのセリフにつきる。
「ぼくは裁判で負けて破産した、だけど本当の敗者はタワーレコードさ。」
そう、ダウンロードは流通に対する破壊的イノベーションだった。

さて、広告は目に触れる頻度が全てだ。グーグルのターゲティング機能を使えばものの見事に買い物したくなる脳を作り上げることができる。だからグーグルとYouTubeの一体化は必然だったのだと思う。サブリミナルじゃないあからさまな表現でも人は買い物するからだ。いまやYouTubeに動画を投稿し、一攫千金なんて時代になっている。音楽だって同じだと思う。だけど動画サイトでは音楽性だけでは勝負できない。

音楽配信がダウンロードからストリーミングにかわる。このことを最後にまとめたい。
CDの時はコピーユーザーが沢山いた。今もTSUTAYAで借りてくる人は少なくない。コピーユーザーは健在だ。
ダウンロードも同じように価格的にはTSUTAYAと勝負にならなかった。

動画ならストリーミングでも広告付きでなんとかなる。、音楽に集中すれば広告が目に付いたって気にならない。だけど音楽だけだと広告はやっぱり音になる。音楽をストリーミングで無料配信するには音声の広告がいる。だけどそこに広告が入ったらラジオと一緒だ。そんなんじゃ音楽は心から楽しめない。

好きな音楽だけに没頭できるなんてなんてジャンキーなんだろう。月額980円 10ドルなら、CDを借りてきたり読み込んだり返したりの手間を考えるともう十分すぎる価格競争力がある。つまらないトークやコマーシャルに煩わされす好きな音楽と時々意外なドキドキを感じられたらどんなに素晴らしいか。

アップルミュージックは、ラジオの広告を意味なきものとし、いまなおくすぶっている物流としてのCDを根絶やしにし、TSUTAYAのようなデジネスモデルをもイノベーティブに破壊しようとしているんだと思う。

全てがストリーミングの世界に置き換わる時、ミュージシャンは、巨万の富を得ることのできるこの仕組みを賞賛するようになると思う。それどころか、ストリーミングの完備によって、これからは店舗や学校で音楽CDを流すなんてことは御法度であることがより明確化されるだろう。

一見、アーチストに不利に見えるこの仕組み実は極めてアーチストを保護している。新人アーチストがしばしば強要される買取と言う仕組みもダウンロードやストリーミングと言う仕組みによってやりにくくなっているからだ。そして最後はアップルミュージックはそ既存のレーベル全てを破壊するんだろうな。

数ヶ月前、アップルはiWatchの発表で腕時計を再定義すると宣言したけど、アップルミュージックは音楽の再定義なんだと思う。
音楽マーケットという市場原理からだけしか、アップルミュージックを俯瞰できないいまの日本のメディアはつくづく「死すべき◯◯◯」だと思う。アップルの変化は時代や文化の変化なんだ。