イベントのあとに落ち着きのなくなる子どもたち
【今回は専門家向け記事です。】
運動会や学園祭が終わった後もそわそわしている子どもたち。
両親や先生は、そんな子どもたちをしかり飛ばすことはあっても心配そうにみてあげることはありません。
かくれ難聴
120デシベルの音にほんの数十秒さらされただけで生じてしまうきこえの障害、かくれ難聴が子どもたちのそうした落ち着きのなさの原因かもしれません。
かくれ難聴とは、
- 120デシベルの音に1日総量で28秒以上暴露された。
- 暴露後に、静寂などの耳の安静がなされなかった。
- 脱水とかアルコール過飲を伴った。
- 睡眠不足あるいはやかましい明るいなど睡眠環境の悪さ。
- 補足 殴られる、頭をぶつけるなども120デシベルの音響外傷と同じ意味を持つことがしばしばあります。
セルフチェックとしては
- 音暴露後の数日、耳鳴を自覚している。
- 耳鳴は数日で気にならなくなった。
- 周りが騒がしいと聞き取りにくい。
- 純音聴力検査は正常。
かくれ難聴とは、強大な音響により有毛細胞がダメージを受けた状態のうち、外有毛細胞は自己修復したけど内有毛細胞と聴神経の軸索との接続部分のシナプス接合に問題が生じている状態であると米国の研究者は定義している。
米国で基礎研究した韓国の耳鼻科医はこうした病態であってもサウンドコンディショニングすれば改善しうると韓国に帰国するや治療器械の開発製造メーカーを立ち上げている。
さて、そうしたまったく新しい疾患概念であるシナプス障害による難聴、ここでは 純音聴力検査で見つからないという意味で かくれ難聴と呼ぶことにするが、それの病院で見つけるためのアプローチや治療や対策をかんがえてみたい。
まず必要な検査
- 標準純音聴力検査
- 自記オージオ
- チンパノメトリー
- あぶみ骨筋反射
- デケイ
- 耳音響放射検査
- 聴性脳幹反応検査
などの一般的な検査で鑑別検査が必要になる。
かくれ難聴を疑わせる所見
などであり、その他の検査はほぼ所見なしとなることがほとんど。
こうした結果を踏まえて、
確定診断のための検査
- TEN(HL)テスト
- TEN ABR検査
- Speech in Noise
この3つが必要となる。
リオンのAA-H1とか日本光電のニューロパックなどがあればカスタムプログラム決定によって検査が可能となる。
検査の詳細については次回以降で検査ごとに解説していく予定であるので乞うご期待。
かくれ難聴という概念の登場によって、ADHDやAPDとかされていた病気の中に、一部あるいはそれ以上のサイズでかくれ難聴が含まれている可能性があるのではないかと考えています。
恐怖や不安はよく聞こえないことでも生じます。毎日折檻と言う名でげんこつで頭をポカリとやられているだけでも子どもはかくれ難聴になるリスクがあるのではないでしょうか。
続く