こちら難聴・耳鳴り外来です!

きこえ、コミュニケーション、そして認知や学習などについて”聴覚評論家 中川雅文" が持論・自説を思うままにつづっています。ときどき脱線しますがご勘弁を(^^;

町おこしと医学会

ボクたちの仲間、と言ってもバリバリの現役研究者やそうした知識の蒐集に熱心な勉強好きなお医者さんは自分の話を聞いてくれる人を求めてお話しする場に出向いたり、そんなところに出向いてでも話をする先生のはなしをききにと出かけていく。辛らつな意見や素朴な質問を浴びせたり、あびせらせることをを切に望んでいるマゾヒスティクな生きもの集団です。
 
そんな研究者や科学者の交流の場、流派を超えたつどいは、
カンファレンス➡︎ワークショップ➡︎研究会➡︎学会
があるわけです。
 
学会というのはおよそ1000人規模以上の会員を抱える団体で一般社団法人以上の法人格を要しているものがほとんど。学会にはまだまだ手が届かないけどいずれはその規模になりたいと目論んでいるのが研究会で、学会の傘下にあることが多い。学会も研究会も同好の士の集まりなのですが、結果として関心領域が限定されてしまい学際的でなくなったり、組織の継続がその存続目的になってしまったりと、なにやら圧力団体的な色彩も持ってしまうので大きくなると研究の自由度が狭くなるし、そこに医療というビジネスが絡むとますますやっかいになってしまいます。専門医や認定医などと社会に対する責任感からか会員の質の確保などにも心配りしなければならないからその組織運営はとても大変なのです。それにたいしてワークショップとかカンファレンスとかいうのは、ある意味 同好会 といった趣きの集まりなので気が楽なのです。しかも実は非常に学際的で高度に知的な集会であったりするからなかなかそうした集まりをさっぱり無視するのは自身の勉強を放棄するに等しいからなかなかままなりません。
 
ボクは28年ほど前から、まず脳波による感性計測という研究にかかわり、それが高じて、脳電図トポグラフィー、脳内ダイポール推定、ラプラシアン脳電図、機能的MRIとはまり、いまは48ch全頭型NIRSでニューロマーケティングの研究をしています。
正直、ボクの路線はもはや医学から逸脱しつつあり、いつになったらブーメランのようにホームに戻れるかは皆目見当もつかないから困ったものです。
こうしたオタクな研究はなかなか発表の場も少ないし、大きな学会だとあまりにニッチで相手にもされなかったりする。というわけでオタクな道具を使うのが大好きなマニアックな研究者がつどうカンファレンスやワークショップにはどうしても出向いていかざるをえないのです。
 
小さなマンガオタクの集まりがいつしか東京ビッグサイトに集まる巨大イベントになったように自分の関心領域がカンファレンスから一大学会に化けること、つまりマッドサイエンティストから市民権のある知的高邁な科学者へと昇華されることをいつもボクは願っているわけです。
 
さて本題、

釧路でニューロサイエンスワークショップが開催されるようになってもう10数回となる。

毎年7月の第1週の金土曜日で開催され、利用するホテルも同じなので、もはや恒例の地域振興行事みたいになっている。
最初の頃は、40〜50名の小さな会であったが、今では200名弱の登録者がある。参加者の何割かは、家族を連れてやってくるから実質的な来釧者はもっと多いだろう。昨年までにかれこれ10回近く参加している。毎度毎度、羽田から釧路へと一泊二日の弾丸ツアーでの参加だったが、いつしか札幌から参加される先生とも仲良くなり、翻訳の依頼を人づてに行った別な先生ともお会いしなければと札幌経由で今年の夏は釧路に伺いました。ついでにマッサン効果を確かめにニッカバーで余市ウヰスキーを楽しむこともできました。
そんな釧路のワークショップに参加されるお仲間から、北の最果てでワークショップなら南の小島でもとおっしゃる先生が登場され、宮古島神経科学カンファレンスなるものが始まりました。どういった流れかはさて知らず、ボクは世話人に名を連ね、町おこしも兼ねての市民講座の担当が今年で3回目となりました。ワークショップの参加者もさることながら市民講座に参加される地元の方もどんどん増え、今年の市民講座は、宮古毎日新聞宮古新報などの地域新聞でも大きく取り上げていただけました。
 学会というとドサ廻りのように土地土地を順繰りに巡回するというのがボクのイメージで、こうした釧路や宮古島のスタイルはとても珍しいように思います。
地域主催の研究会の走りは、おそらく高松市で行われているパーキンソン病の研究会のように思います。しかし残念なことに高松のは研究テーマがあまりにコアなため、学際的な集まりという響きはありません。学会の集まりの中からコアメンバーが飛び出してさらにコアな話をするのが高松だとすると、釧路や宮古島は地域のニーズやウォンツに答えながら、すそのひろくに集う会という違いがあるように思います。
 
こうしたワークショップやカンファレンスといった集まりが無事に開催できるのはひとえに地域との連携があるからに他なりません。というのは最近の学会は「嵐」が来るたびに学会の会期を変更したり時には開催そのものをあきらめねばならぬ状況が頻発していてビジネスライクな運用をしていると他のイベントの影響をもろに受けてしまう状態になってしまっています。台風などの天災ならいざしらず、ポップスターの公演で学会やら研究会の開催が危ぶまれるのは、ボクらにとっては頭のいたい問題です。こうした事態が生じてしまう理由は、大学などの研究者が学会を開催するときにいわゆる学会屋さん、コンベンションビューローさんなどの業者さんに丸投げしてしまうことがあります。ついつい国際会議場などを選んでしまい会場は確保できるのですが、ホテルや宿の手配は参加者がそれぞれにとやってしまうので「嵐」が吹いてしまうと航空券もホテルも取れないという問題が生じてしまうからです。学会はたかだか多くても5000人規模ですが嵐となると5万人は動員しますから簡単に吹き飛ばされてしまうわけです。仮に地域の行政と連携が取れていれば、後だしジャンケン的なタレントの興行に蹴散らされることもなかろうと思うわけです。
 
大都市での学会や研究会の開催はいまやいつもタレントの公演で吹き飛ばされてしまうリスクと隣り合わせです。
町おこしと医学会誘致そんな視点で改めて学会開催のあり方を考え直す時代が来ているのかも知れません。きっとそこには何か新しいビジネスモデルが隠れているように思います。
 
おわり(°_°)
 
 
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