こちら難聴・耳鳴り外来です!

きこえ、コミュニケーション、そして認知や学習などについて”聴覚評論家 中川雅文" が持論・自説を思うままにつづっています。ときどき脱線しますがご勘弁を(^^;

サル化する若者たち!?

放送大学 チンパンジーの心 ヒトの心」 (松沢哲郎) 2015.07.14.

 
ふとチャネルを合わせたら、松沢先生が講義していた。少し白髪増えたななんて思いながら30分ほど番組に魅入った。
 
備忘録として気になったことばを記録しておく。
 
〜 四手動物としてのサルが、立ち上がることで二つの手を不自由にして二足歩行した。〜
松沢先生は、四足歩行から二足歩行になって手を使うようになったのではなく、四手から二手になり、二本の手を不自由な足にしたという。
チンパンジーが仰向けになると自然に母親にしがみ付くような動作を繰り返す姿が映し出された。
右手と左足でしがみ付くあるいはその逆という動きを繰り返すのだ。
母親にしがみつくための本能的な反射的な動作らしく仰向けにするとどのサルもおなじような行動をするらしい。チンパンジーの母親は、手のかかる子供を一人づつ育てる。新生児死亡率30%近い環境の中で、ひとりひとりを大事に育ているのだ。
ヒトの場合は一人前になるのが遅いし多産も難しい。そこで、一人前になる前にさらに子どもをもうけるという手段をとる。手を欠けられないから放置される。かくしてヒトの赤ちゃんは親にしがみつくという本能を失ったのだと松沢先生は語っていた。
 
〜  シングルワーキングマザーなチンパンジー、夫や祖母が育児に関わるヒト。〜
チンパンジーのママはいつも赤ちゃんザルと一緒だ。そして、夫は育児に参加しない。
それどころかよその夫が我が子を食べにやってくる。
カルバニズムという形で部族闘争し、ボスザルの遺伝子を引き継ぐ赤ちゃんを殺しにやってくる。そんな環境にあって母親チンパンジーは一人一人を確実に大事に育てないとどうにもならない。チンパンジーはヒトと違い一人前になるのが早い。そしてママは多産というやり方で病気や外的によって失われる命のバランス、種の維持をしているというのだ。
ヒトは、シングルワーキングマザーではなく夫が育児に参加する。それだけでなく祖母も積極的に育児に関わる。それこがヒトの特徴だと松沢先生。
きっと彼は研究に没頭して今の社会がシングルマザーや子殺しにというニュースが絶えないような状況にあることを知らないんだと思う。
男が前夫との間の子を殺すのは、チンパンジーと同じカルバニズムの一形態なのだろうか?
母親が婚姻関係の継続よりもシングルマザーを選ぶのは同じようにヒトのサル化現象なのか?
古来からの日本的価値感が壊れつつあるいまその核心である欧米化とはサル化することなのかと少し陰鬱な気分になってしまう。
 
〜 新生児から大人になるまでの脳の成長は、チンパンジーもヒトも変わらない。〜
脳の大きさやその成長率は、脳の優秀性を言わないと彼は強調していたように思う。
脳の大きさは少なくとも知性の差には影響していない。そのことは、脳神話のテキストに明確に説明がなされていた。

 

Great Myths of the Brain (Great Myths of Psychology)

Great Myths of the Brain (Great Myths of Psychology)

 

 

 
〜 教えない学習、見て学ぶ教育 〜
親が大人に見本を示す。
教えない。
それがサルの教育らしい。
サルはみたままを憶える力に長けている。ヒ
ヒトは憶える力はないが、見えないモノを見る力(妄想する力)があると・・。
 
 
〜 アユムの記憶 〜
0.7秒で9つの数字の場所を覚えることができる。
トレードオフ仮説  ヒトになる過程に瞬間的記憶を失う代わりに言語を得たと彼は仮説を述べた。
もしヒトが、瞬時記憶を失ったとすれば一体何を得たというのだろうか?
想像力を得た。瞑想力を得た。というはやすいが、それは、妄想にすぎないのではないかと悩んでしまう。
 
〜 チンパンジーの描画 〜
チンパンジーは目の前のまるや絵をトレースするだけだが、ヒトはない場所に本来あるべきものを書き入れる。ヒトはそこにないものを見ると彼は言う。
 
言い換えるとヒトは目の前のものをそのまま見ることができないとも言える。
医学教育や職人育成は、いつも見ることから始まるのはそのためかもしれない。
 
〜 チンパンジーは希望を失わない。〜
今を生きるから憂うこともない。ヒトは未来や地球の裏側の出来事に想いを馳せて 想像して絶望する。人間とは絶望し、想像する生き物である。
 
こうしてヒトとチンパンジーのの対比を聞いてみると、チンパンジーに近い方が、ヒトとして強いのかなと思えてくる。
楽観主義、瞬時に数字を見極める力、見えるものだけを信じる、婚姻関係の継続を重視しない。
なにやらキリスト教的縛りから解放されたホワイトアングロサクソンの現代的価値観こそがサルへの回帰に思えてきた^^;
 
 
 
追補:  〜 チンパンジーの課題 〜
絶滅危惧種の宿命としての血族結婚が、多指症の子を増やしている。