なんとなく、クリスタル
田中康夫さんは、33年前、処女作で文壇のメンバーに仲間入りし、時代の寵児になった。
そのことは、わたしにとってとても記憶に新しい。
その後の彼はけっして上品とは言えないエッセイや作品で物議を醸しながらも、
長野県知事になったり国会議員したりと骨の折れる仕事も率先して行うとても忙しい人だった(阪神の震災でもずいぶん頑張っていらっしゃいました。)。
おそらくそろそろ還暦を迎えるようなお年ではないかと思うのだが・・・。
案の定、「33年後のなんとなく、・・・」を執筆したらしい。
そこでもう一度「なんとなく、クリスタル」を読み直してみようと
キンドル版を手に入れた。
2時間かそこら、本文だけならあっという間に流し読みできた。
なんとなく、クリスタルに出てくる音楽タイトルを集めたLPレコードが当時あった。
カセットにダビングして車の中でよく聞いていた。
LPは友人に貸したきり戻ってこないというか、誰に貸したのかさえ憶えていない。
テープが壊れて、というか車が大破して、それから聞かなくなった。
オリジナルのレコードもその頃にはもう手に入れることができなかった。
そのうち、CDも出てくるだろうとお持っていたが、何かの本で著作権などの問題から、CD化は実現しなかったと田中康夫がどこかに書いていた。
似たような曲が満載のオムニバスをみつけたのは、それからずいぶん後になってからのことだ。AORベストセレクションというシリーズのCDは、当時の気分に浸るときにはいつも聴いている.
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結構気に入って聞いていたのだが、どうもこのCDの中には肝心なエッセンスが入っていないと感じていた。
今回読み直して、脚注に目をやって、その欠けていた曲がなんだったかがわかった。
ザ・トゥルース・オブ・アス(涙のくちづけ)(紙ジャケット仕様)
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懐古主義、年取ったねと言われるとぐうの音も出ない。
なにはともあれ学生時代にバイブルのように読み込んでいた本を当時の自分を思い出しながら、33年ぶりにキンドルで一気に読めたのは幸いだった。
33年前もいまもそんなにかわっちゃいないな。
一回り上の世代は、「憂鬱」な世代なのかもしれないが、ぼくらはいまも「クリスタル」だなと・・・。
いまさら33年後のおばさんになった由利の姿(^^;なんて覗く必要もなかろう。
そんな結論になって、書籍版しかない「33年後の・・」はまだAmazonでポチッとしていない。
おわり。
追記
当時は、レコードからCD、VHS・βからレーザーディスクみたいな変化の時期でした。
思い切りのいいわたしは、これからはデジタルだとサンスイのシステムCD・MDコンポやパイオニアのレーザーディスクを手に入れて、レコードやテープからいっきに足をあらいました。だから正確には友人が借りっぱなしなんじゃなく、返さなくていいよといってLPを全部あげたことを思い出しました。